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2010年1月21日 (木)

震災翌日生まれの15歳 伯母の愛に包まれて(産経新聞)

 神戸市中央区の東遊園地で17日未明から開かれた追悼式典に、18日が15歳の誕生日の市立本山中3年、是枝強志君(15)は、初めて家族5人で参加した。

 15年前の1月17日、強志君は東灘区に住んでいた母、貞美さん(46)のおなかの中にいた。ちょうど出産予定日。激震が去った後、貞美さんは「明るいうちに産みましょう」と担当医から言われ、取る物もとりあえず入院した。

 父の浩昭さん(48)は近くの実家へ急いだ。文化住宅の1階。全壊した建物から母を救出し、がれきを掘り起こすと、姉の紀美さん=当時(35)=の手があった。握るともう冷たい。全身の力が抜けた。

 悲しむ時間はなかった。遺体を学校の体育館へ運ぶと、腰の骨を折った母を入院させ、貞美さんのいる病院へ。24時間後、強志君が生まれた。

 貞美さんには紀美さんの死を隠した。貞美さんとわが子の寝顔を眺めていると、ぽろぽろと涙がこぼれた。わがことのように誕生を心待ちにしていた紀美さんに、一目見せたかった。

 ≪形見のおくるみ≫

 出産3日後に退院し、兵庫県明石市の姉宅に身を寄せた貞美さんは、会社の同僚からの「お義姉さん、残念やったね…」との電話で紀美さんの死を知った。2週間がたっていた。浩昭さんが親戚(しんせき)と走り回り、5日後にやっと愛知県で荼毘(だび)に付したと聞いた。悔しくて泣いた。

 ある日、浩昭さんは実家のがれきの中から、袋に入った手編みのおくるみを見つけた。完成間近で、毛糸玉と編み棒がついたまま。和裁をしていた紀美さんは生前、「お宮参りの着物は私が縫うからね」と話していた。笑顔の赤ちゃんをひよこが囲むかわいらしいデザイン。姉の思いとその優しさに、また泣いた。強志君と2人の弟はそのぬくもりに包まれて育ち、浩昭さんに似たラグビー好きの元気な少年に成長した。

 10歳の誕生日を前に、浩昭さんはおくるみの話をした。宝物のように保管されていたおくるみの絵柄を見て、強志君は「楽しそうやなあ」とつぶやいた。写真でしか知らないおばさん。「僕の子供も、このおくるみで育てたい」

 ≪将来は消防士に≫

 今春、中学を卒業する強志君の夢は消防士。「人を助ける仕事がしたい」。初めて家族全員で参加した追悼式典、ろうそくに火を灯し、おばさんを祈った。

 あたたかいおくるみ、ありがとう−。

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